【6】滑降変>野沢・谷川岳・神楽ヶ峰

【6】滑降変>野沢・谷川岳・神楽ヶ峰

いよいよメインイベントの大滑降

■ 15:15 下山開始

ザンゲ岩の延長線あたりより慎重に登ってきた斜面を一気に滑り降りる。
パウダーやったらごっつ気持ちええやろなぁ

写真じゃたいしたことないように写ってるけど、そこそこの斜度があるねんで!

 

写真を撮ってもらってやっぱり自分のフォームのダサさが気になる。
急坂でも滑れる、コントロールはできる!
でも、膝が入ってないやん!
うーーーーーーーん(-_-;)格好変や

 

さらに斜度がキツくなる
もう遊園地のジェットコースーター気分で笑いが止まらない
ギャハギャハ笑いながら滑る。
怖さと面白さの狭間や!

この状態やったらあっという間い下山やな
あっと言う間に下山のはずやった。
滑って下りて降りておりまくって下山の予定。

できるだけ滑って下りられるように、まったく雪のなかった尾根を避けるように
ヒッゴー沢方面に天神尾根を横切る。
このまままっすぐ降りると大きなデブリ跡のあるヒツゴー沢にぶち当たる
天神尾根にもどらなくてはならない。

これが一筋縄ではいかんかった(;´Д`)
このあたりはクラック大量・・・クレヨン・・・クレパスで、きっちりコントロールしていかなアカンどころか
幅50センチほどしか雪面と板が接地しないようなブリッジを渡らされる。
んなアホなぁ(;´ω`)

崩れる心配はなさそうやけど、横のアナボコに滑って落ちてしまいそうやん!
時間がかかってもしっかりと踏み固めながら渡る。
失敗こいたら下側の熊笹クレパスにまっさかさま
Iサンはニヤニヤしながら写真撮ってるし…クソっ!

『こんなヤバイとこにみんなが来てたらどないするん?』

『それなら最初からそこまで登らないよ。せいぜい熊穴で打ち止め』

まったくもって難儀な下山や
滑ってはヨコヨコカニカニと登ってトラバースして
さらに、急登では板を肩に担いでの登りかえし
『えーーーーーーーーーっ!いやだーーーーっ』と言ってもヤルしかない(-_-;)

たった30mほどの標高を登る
されど30mも!板を肩に担いで登る

喘ぎながら、キックステップを食い込ませゆっくりでも着実に登る

先に尾根まで登ったIサンが上から汗だくになってるウチに言う
『出たでた!もうすぐ熊穴や』

『あぁ、ゲレンデも近いね』

『助けたろか?』
なんと親切に上から降りてきてウチの板を担いでくれると言う
切実にお願いしたいとこやけど、うーーーーーん・・・クソっ!

『自分から手伝ってなんか言えんわ』と小さくあがいてみる。
自分でできるとわかってるうちは意地でも弱音ははきたくない。
たとえそう思っていても。

ニヤニヤしながらIサンが下りてこようとしたその時

『あっ』

緊張感が抜けたとたん、スルっと滑ってしもた。
アカン!どこまで落ちるや( ̄□ ̄;)
体制を立て直さないと!
足を下にもっていかないと!
肩に乗ってる板をどうする?
摩擦かけないと!
ピッケルがあると止めやすいやろうに!
板で押さえるのが一番効果的やろな!

・・・と、板と肩ごと雪面に押し込んだ。
登ったぶんの半分
10数メートルは落ちた。
落ちたのはショックやったけど、思いのほか冷静やし数秒の間にいろいろ考えるんもやな。
怖いとか危ないとか言うよりも腹立たしくてショックだ。
人のことは笑えんなぁ・・・はぁ(-_-;)

『大丈夫かぁ~』

ストックと手を振って答える

『もう~登りたくな~~~~い』

それでも仕方なしに舌打ちしながら登る『チッ!』

やれやれ(;´ω`)尾根から熊穴目指してトラバースする。

後を振り返る。
遠くに見えるのはオジカ沢の頭やろか?
『新ルート開拓やな』とIサンは言うが、
こんなしんどいルートを誰に推奨できましょーか!ケッ!

 

やっと熊穴避難小屋に着いた(^_^;)

■ 16:30 熊穴避難小屋

ウチを待っている間にIサンは何回かトランシーバーでゲレンデ組に連絡を入れてくれている。
ロープウェイが17:00で営業終了やからギリやな。
間に合うか、間に合わないか、アカンかったら下山ルートで滑っておりるしかないな。

ゴゴゴゴゴゴォォォォォオオオオ
地響きが鳴る
西黒尾根の斜面から西黒沢の末端にある横に走ったクラック  クレパスへ吸い込まれるように雪崩が落ちていく。
巨大な雪の岩がゴロゴロと音をたてて崩れていく。
半分以上は沢の中に落ちる。
あんなとこにおったら一貫の終わりやな。

■つづく———————————>【7】