Haute-Routeに挑戦 2017年3月

 HauteRouteの計画立案や旅の途中の出来事などに関しては後述するとして、まずはツアー初日の報告から始めます。

ツアー日程(宿泊予定)

スタートはフランス、シャモニーの北東の町Argentiere

320                        Refuge Argentiere             Argentiere氷河の山小屋

321                        Champex             シャンペックスのホテル

322                        Cabane Prafleuri              ブラフュエリ小屋

323                        Cabane de Dix    Dix小屋

324                        Cabane de Vignette ビグネット小屋

325                        Zermatt のホテル

ツアーの終了はスイスのZermatt

 

3月20日 ツアー初日

ホテルでミーティング後、Argentiere1252m)からロープウェイ、ゴンドラを乗り継いで一気にGarnds Montets山頂駅(3220m)へ、

好天に恵まれ山頂駅からはモンブランが真正面に! 山頂駅は正午頃

Garnds Montets の北西斜面一帯がスキー場となっているが、我々はスキー場側とは反対の東南東方面に向けて滑り込み、その先はArgentiere氷河の上となる。降雪のあった後の様でコンディションは最高、快適な滑降です。

氷河に降りると今日の宿泊先の山小屋(Argentiere Refuge)へは少々登り返しとなるのでここでシールを装着、その後その場でまずビーコントレーニング、ガイドが自分のビーコンを雪に埋めて、それを捜索するいつもやってるやつです。

今日は足慣らしにもならない程度で1430には山小屋へ到着、山小屋で少々休憩してから山小屋から氷河ではなく山の斜面に向かって登りながらキックターンの練習やスキー靴での岩歩きをやって終了。後でガイドに聞いた話ですが、ガイドは初日で参加者の技量がどの程度か、オートルートに連れていても問題ないかを確認する様です。

山小屋の宿泊者は30名程度、いくつかのパーティーがあり我々はガイドも含めて4名のパーティー、Iさんと私(N)もう一人の参加者はオーストラリア(オーストリアではありません)のカレッジで教鞭をとるというGさん、それにガイドのTOMさん

ガイドのTOMさんはドイツ人で身長196cmと我々から見ると大男ですが、ベジテリアンで食事は特別注文で我々とはいつもベメニューでした。彼は大学では気象学を専攻し雪崩のメカニズムを研究していたというエキスパートです。

 

3月21日 ツアー二日目

二日目はスイスとの国境であるコルと他のコル二か所合計三か所のコルを超えるロングランが控えており、朝6時の食事を済ませるやなや素早く出発となる。

小屋を出たら暫くは氷河を下ってからコルへ取付く。

シール登行で高度を上げるが、最後の200m近くはスキーを担いでスキー靴にアイゼンを取り付けて登る。

急斜面であるがガイドがロープ確保していてくれるので安心感はある。Col de Psson(3028m)を超えると少し滑降してまたシール登行となる。

高度が高いところは雪質も良い。二つ目のコルCol Superieur du Tour(3289m)がスイスとの国境となる。国境を超えると氷河滑降の開始である。

どこまでも続く氷河のロングランが暫く続く。Trient小屋を横目にもう少し下ると本日最後のコルとなる。斜滑降でコルにアプローチするとこのコルCol des Ecandies(2796m)は殆ど岩登り。

先に取付いているパーティーが石ころを落としてくるので暫く時間調整してから取付く。

コルを超えるとChampexまでまたまた超ロングランの滑降となる。高度を下げてくると雪質が変わってきて下部はザラメに近い状態となっているが宿泊予定のホテルのすぐ近くまで滑って降りる事が出来た。

1645ホテル到着、この日の行動時間は約10時間

 二日目の宿泊はChampexのホテル、サウナやジャグジーも備えてます。

 ホテルの食事は期待以上、

朝食はセルフですがこんな感じでした。

 

3月22日 ツアー三日目

ホテルの朝食は朝7時からで、今日はゆっくり目のスタート、外は雪か霙がちらほら

ChampexからVervierまではタクシーで移動、途中でスーパーに立ち寄り行動食、飲み物を調達、ゴンドラの駅には940

ゴンドラ・リフト・ロープウェイを乗り継いで標高2,890mまで一気に高度を上げます。山頂駅から高度差150mほどスキーで滑降しシールを付けてコルに向かいます。

今日はコルを二つ超えて山小屋へ向かうが、ルートの途中にRosablanche(3,336m)へ立ち寄るオプションがある。今日は天候が優れないので登頂時に展望が望めるかどうか判らないがどうするかとガイドから説明があったが、Iさんが強く登頂を望まれ山頂へ向かいます。

Rosablanche直下、ここから歩いて登ります。

Rosablanche山頂

昨夜からの降雪でRosablancheからの滑降は快適でした。

1610 Prafleuri hut到着

 

山小屋と朝食

 

 3月23日 ツアー四日目 朝7:20出発

計画上4日目は移動距離も短く高低差も少ないので割と安易に考えていましたが、結果的にはツアーの中でこの日が一番疲れました。ツアーを通して標高の高いところは一日中雪質も柔らかく滑り易いのですが、標高の低いところは昼間に雪がザラメに変わり夜間にこれが凍結する事が良くあります。今日の工程は半分以上がDix湖のサイドを斜滑降で滑る事になり、朝一の斜面は案の定アイスバーンになっていました。柔らかい雪やザラメならどうって事は無いのですが、アイスバーンになっているとスピードコントロールが難しい上、前日以前の滑走者の滑走レーンも入り乱れ非常に不安定な滑降の連続となります。斜面の途中には何度も凸凹もあり、更にガスが掛かると凸凹の発見が遅れ突然襲い掛かります。ツアーの参加条件にどの様なコンディションでもスキーを安全にコントロール出来る事とありましたが、将にその通りでした。

あまりの緊張の連続で、この区間はカメラを出す余裕も無く、記録写真も殆どないくらいです。

13:20 Dix hut 到着

3月24日 ツアー五日目 (7:40出発)

昨夜から天気予報が芳しくない。本来のルートなら、Pigne D’Allora(3800m)を経由してVignette小屋へ行くが、強風でPigne D’Alloraへの登頂は困難、そのため一旦Allora歩凹面へエスケープしてVignette小屋を目指すこととなった。

オレンジの破線が本来の予定コース、青が実際のトレース

 Dix小屋から氷河を少し下ってCol de Riedmatten(2850m)へ向かう。スキーを担ぎスキー靴にアイゼンで登りColの最上部は四箇所の梯子がある。

ColからAlloraのスキー場へ下って来ました。

ここから登り返しです。

13:45 Vignette小屋に到着

 3月25日 ツアー六日目

天気は良くないものの、回復傾向にあり朝は予定通りに山小屋を出発する。今日はツアーの最終日で3つのコルを超えてZermatteを目指す。

一つ目のコルCol de I’Eveque(3392m)を超えて滑走に入ると新雪がかなり積もっておりパウダースノーとなっているところへ背後から台風並みの風に煽られ、雪煙が腰まで舞い上がり腰から下は真っ白で何も見えない。この状態での滑降は将に

二つ目のコルCol de Mont Brulee(3213m)の取付きまで到着。

しかし、斜面は昨夜からの降雪で雪崩のリスクが大きい。残念ながら二つ目のコルは越えられず、Alloraへエスケープする事となった。

12:40 Alloraへ下山

タクシーにてSION駅に向かう。

 

 

SION駅から列車でZermattへ向かいます。

スイス鉄道の列車は山が良く見えるように大きな窓が付いていますが、なんと網棚まで透明になっているという拘りが感じられた。

Zermattでの夕食

 ZermattでのAfter Haute-Route はモンテローザへのヘリスキーを予定していたが、3/26(日)は朝から雪がちらつき、ホテルへヘリスキーの事務所から連絡があり、キャンセルが伝えらえた。この日は暫く様子見していたが、11時頃になり漸く雪がやみ空が明るくなってきた。せっかくなのでZermattのスキー場へ出かける事とした。

無料のシャトルバスに乗ってゴンドラ乗り場に到着しゴンドラで一気に標高3000mまで上がる。

山頂駅には立派なレストランがあり、スキー目的ではない一般の観光客もちらほら、ワイングラスの並ぶ高級レストランもある。

テラスで食事をしていると、暫くすると雲の切れ間に

周辺も見えて来てマッターホルンをバックに滑走開始

 

最終日は登山電車でゴルナーグラート展望台です。

食事をしていると鳥たちが集まって来ました。肉を狙っております。

ここから滑降開始です。

シャトルバスは次の時間が電光掲示板に表示されています。

帰りの列車はネットで三割引きで購入できたので一等車にしました。

計画立案

2017年の目標としてHauteRouteの計画をブログに掲載したのは2015年9月でした。なぜ2017年か?リフレッシュ休暇が取れる年で、勤続35年目のリフレッシュにて9日間の連続有給休暇を取得できる年だったからです。

今回オートルートのガイドをしてもらったのは OnTop ltd.アメリカに本拠を置く山岳ガイドの会社で、ここ選んだ理由は私の仕事業務で都合が付きそうな日程にてツアーが日程が設定されており、問い合わせたところ既に1名の参加希望者があり、今回ご一緒させて頂いたIさんと2名で申し込むとツアーが成立するとの事で決めています。申し込んでも最低開催人員に達しないと直前で開催が出来ないなんてこともありますので、5年に一度のチャンスを無駄にはできません。

オートルートスキーのシーズンは3月〜4月ですが、私の場合4月は業務が立て込み連続休暇の取得は見込めないので、都合の付きそうな3月後半に的を絞って進めた次第です。

2016年の7月には申込金を支払って契約が成立、本ツアーに含まれるのは現地ガイドとツアー中の山小屋とホテル泊のみで、集合はスタート地点のフランス、Argentiere(シャモニーの隣町)のホテル、ツアーの終了はスイスZermattのホテル。従って日本からArgentiereと帰りのZermattから帰国は自身で計画する事ができる。

つづく